平成ノブシコブシ漫才ライブ「ノブシコブシが150トン」@THEATRE BRATS


まず最初に。自分がどういう立ち位置かというのを説明すると「去年のM-1 3回戦で初めて見て、“結構面白い、他のネタも見てみたい”と思った」→「後に彼らがコント芸人だということを知る」→「コントをTVで見たが、そんなにツボにはハマらず」→「漫才ライブをやると知り“これは是非見たい”と思いチケットを購入」 つまりコント芸人のやる漫才ライブ、とは思っていない。非常に珍しいタイプだと自覚している。ファンの大多数は「コントはいいけど漫才は…」と思っているようだし。


さて、ぴあの「約2時間」を間に受けて「2時間も漫才見れるのか、楽しみだな」と思っていたのだが、実際に披露された漫才はたったの3本*1だった。他の時間は何をやっていたかというと、漫才1本終わるごとにに反省会(公開ダメ出し)、5GAP大西ライオンを招いて「M-1GP 1回戦突破に向けて」というテーマのトーク(という名の5GAPドッキリ)、コント1本。っておい。コントて。保険にしたって開き直りすぎだ(笑)。


漫才は「豆漫才」「ON漫才」「しゃもじ漫才」の3本だったのだが、個人的にはどれもなかなか面白かったと思う。とりあえず「他の人がやりそうにない漫才」というのが良い。発想力が優れている。


大体何で「豆漫才」になったかというと、吉村が「俺の周り、豆ばっかりじゃねえか!」という台詞を言いたかったから、だそうだ。つまり、テーマよりも前に着地点がまず最初にあって、そこに向かって漫才を作っている。ただ悲しいことに全体としては良かったのに、その決め台詞は思いっきり滑り倒し、着地というよりも墜落(しかも無人島)の様相を見せていた。


次の「ON漫才」、これは野球ネタなのだが、何故かルーテーズと小倉優子が出現する。物凄く食い合わせの悪そうな組み合わせだが笑った。ルーテーズって。つーか、どっちも野球と関係ない。


「しゃもじ漫才」は文字通りしゃもじを持っての漫才。いわゆる「漫才コント」には初めて挑戦したらしい。恐らくコント芸人だからこそ、漫才コントを避けてしゃべくりで勝負したかったのだろうけど、そこはこだわらなくてもいいんじゃないだろうか。個人的に一番面白いと思ったのは、この「しゃもじ漫才」だった。吉村は「東京ダイナマイトが去年の決勝で刀持って出てきた、あれ」と言っていたが、それとは全然違う。つーか、決勝で思いっきり滑っていた部分をなぜ真似するんだ(笑)。やっぱり何かがおかしい。


まだまだ荒削りだし、滑っている箇所も沢山あった。でも、この発想力はなかなか出てこないものだと思うからもっとどんどん漫才をやってほしい。やればやるほど良くなる気がする。


個人的には3回戦までは行けると思っているのだが、吉村は相当今年のM-1に関しては不安を覚えていたようで「絶対落ちる」「みなさん明日見に来てください」「ボケるタイミングはわかっているはずだから、そこでドカンと!」「組織で勝ちましょう!」という恐ろしいネガティブっぷり。僕は今日のライブを見るまで、吉村は自信過剰なタイプかと思っていた。確かにそういう節もあるのだが、ふとした瞬間に凄い勢いでネガに振り切れる。一瞬にして心が折れるようだ。


最後のしゃもじ漫才をやる前に「(手で腿を叩く)この合図で笑ってもらおう」と言い出す吉村。徳井が「それM-1では通じないから!やるなよ!」「これをやったら(吉村は)心が折れたんだな、ということで」と断ってから漫才を始めたのだが、実際そんなに大きく滑っていた訳でもないのに本当に合図を出す吉村。おじぎ草ばりの折れやすさを見せる吉村に苦笑した。


対照的に「いやあ、目標は優勝でしょ」と飄々とした表情で語る徳井。いや、それは行きすぎ(笑)。ちなみに次回ライブは「吉村vs徳井」と銘打ち、「どちらが面白いか決める!」ライブだそうだ。「おまえら最近は徳井、徳井って!ノブシコブシは吉村でもってるんだよ!」と半泣きで粋がる吉村に対して「そんなの決めなくてもいいよ」「いいじゃん吉村で…」とサラっと言った徳井に、会場中の誰もが「うわぁ、大人…」と思ったはず。いいコンビですね。(それ、フォロー?)


ちなみに5GAP大西ライオンを迎えてのトークは面白かったし笑えもしたが、結局M-1の話題からは遠く離れて脱線しまくり、挙句「5GAPがCSでレギュラー出演しているカラオケ番組(ボケ不要、淡々とMC業をこなしている)」「前日に5GAPが出場したM-1・1回戦の様子を隠し撮りしたビデオ」を流して5GAPを悶絶させるというもの。そ、その悪戯に賭ける情熱と労力を漫才に注ぎ込んでは頂けないでしょうか…

*1:正確に言うともう1本やったのだが、それは徳井と謙一番星の漫才だったので数には入れない