トータルテンボス漫才ライブ「愛くるしい」@ルミネtheよしもと


とにかく印象に残ったのが、どもる、噛む、言い間違える、という三種の神器。過去M-1の決勝戦に残った漫才師の中で最も噛み率が高いんじゃないだろうかと思うくらいの噛み倒しっぷり。


でも去年のM-1決勝後〜北野吉本辺りまでの「何やっても滑るんじゃないか」的な空気は無く、「とりあえず面白いことをやっている」という雰囲気は出ていたのが救いか。笑いのポイントは多数あった。しかし「M-1に向けて調整十分!」とは正直言い難いものだった。


藤田のツッコミで笑いを取ることを狙いすぎて、大村のボケがフリにしかなっていない場面があった。ボケが軽すぎる。いくら軽薄キャラだからってボケまで軽くすることは無い。それでも後半に行くに従い、大村がヘラヘラと笑いながら大味のボケを振り回すようになると、藤田のツッコミがより映えてくる。というよりも「大村が本気で藤田をおちょくり、藤田が半泣きで突っ込む」という絵が面白いんだな、と思った。


何だか否定的な感想に見えるけど、爆笑しなかったかと言うとそうでもなく。2時間で10本の漫才をやったのだが、爆笑した回数は9回。ただし、どれもこれもブリッジの映像でだが。


映像は「今日のいたずら」と題されたシリーズもので、全て藤田に対するドッキリ。「壊れた椅子に座らせる」「落とし穴」「寝てる間に靴紐を結んでおく」「消しゴムをカブト虫の幼虫にしておく」「オープニング用の映像を撮影中に、上から金だらいが落ちてくる」「タバコに火をつけたら花火だった」などなど、使い古されたベタなドッキリでも観客の期待を120%上回るリアクションを見せる藤田。俗に言う「笑いの神が降りている」状態。伊達に噛みまくっている訳ではないのだ。ブリッジの映像、9本全て外れ無しの大爆笑。エンドトークで「ドッキリの方がウケてたけど」と自覚していたのは、果たしていいのか悪いのか。


こうなったら、いっそ漫才に「藤田ドッキリ」の要素を入れればいいんじゃないか。袖から舞台中央に向かう途中に落とし穴を仕掛け、38マイクの先端にはカブト虫の幼虫を付けておく。漫才中に上から金だらいが落ちてきて、最後に藤田が「もういいよ!」と大村にツッコミを入れた瞬間に大村が火を吹いて炎上。これで4回は爆笑が約束されるはずだ。大村は登場時から赤いヘルメットを被ってくるのがいいだろう。頭の大きさという点で、その方が両者のバランスが取れる。というより、藤田の頭が大きすぎる。


ちなみに漫才中、一番の爆笑を取ったのは大村がパッション屋良の真似をした瞬間。「居ないところで手柄を立てさせるな!」という藤田のツッコミが情熱的すぎる。