M-1グランプリ3回戦@ルミネtheよしもと


恐ろしくボリュームがあるので畳む。


まず全体の雰囲気。前半、死ぬほど空気が重くて参った。前半に出た人はかなりやりにくかったのでは。客ウケが前半と後半ではまるで違うんだもの。ただ、客ウケという意味ではそこまででもなかった鼻エンジンが合格しているのを見る限り、その辺はちゃんと考慮して審査しているのがわかった。つうか、一応客ウケは審査対象外なんですよね。去年の準決勝はホントにそれが如実で、逆にちょっとどうかと思うくらいだったんだけど。閑話休題


以下、メモを元に。合格したと思ったものには○、微妙に合格するかどうか?というのには△をつけてます。(あと、一応客ウケを+、++で表現してます。余り正確ではないと思いますが、参考程度に。)

アームストロング:銃を打ってみたい +
UNDER POINT:カンニングの方法
鼻エンジン(合格):引っ越し +
ニブンノゴ!:コンビニ強盗
バッドボーイズ:交通事故


アームストロング、コント本職の割に良かった。1番手にしては客ウケも良かったし、出順次第ではもうちょっと印象が違ったかも。「戦争だ!」以降の展開には笑った。


鼻エンジン、渚が見るからに緊張していて「大丈夫か?」と不安になる。挙句、噛み倒して「緊張してるわ!」と思いっきり言い放つ。この時点で「ああ、もうダメか…」と思ったが、ネタはしっかり出来ているし、最後までコンスタントに笑いは取れていた。ここは逆に序盤で得したのかもしれないなあ(他が余りにも良くなかったから、印象は強かったと思う)。前半に前振りしているネタが後半ドカンと来るんだけど、そこが痛快。それと掴みのジャンケンネタは滑り知らずなんだろうなあ(笑)。1回戦で見た時も、弛緩しきった空気がそこで変わったし。帰っていく時の2人は明らかに負け戦っていう顔してたと思うんだけど、ここはもう1回死んだと思って準決勝で一泡ふかせてほしい。


ニブンノゴ!は最初からコンビニ店員の衣装を着込んで、バーコードリーダーも持って出てきた(笑)。完全にコントだよ、っていうかこのコント見たことあるし。バッドボーイズは「またこのネタか…」という印象しか無い。何でいつもこのネタなんだ?去年と同じだよね?

ゆったり感:子どもが欲しい、ものをねだられる、ツボを割る
髭男爵:上流階級のテレビアニメ
ラブカップル:ホストになりたい
芸人気質:相方いじり
寒中水泳:アキバ系のバンドを組む
磁石(合格):注意おじさん ++ ○


ゆったり感、いつもよりもツッコミの音が鈍かった(そこしか見てないのか)。髭男爵、髭じゃない方の衣装が偉いことになってたんですけど、前からそうでしたっけ?ラブカップルは余りの苛めっぷりに客が半分引く。寒中水泳はキター!の顔文字を体で表す、というネタを推していたが2chネタは危険です。滑った時に目も当てられない(笑)。


ここまでとにかく重苦しいムードだったのを一掃したのが磁石。いやあ、素晴らしかった。つーか、やっぱり準決勝出演経験者は違うわ。落ち着き方が。ネタは注意おじさんというネタ。初見。でも引きこもりの子どもを説得するとか、割と以前のネタと似た雰囲気だったかな。勿論一個一個のボケは凄くいいんだけど、何か隠し球が欲しいなあ。決勝もちょっとだけ見えてきた。


で、ここから客席のムードが良くなります。磁石出てなかったらどうなってたんだ一体。

チーモンチョーチュウ(合格):百人斬り ++ ○
BODY:ヨガ ++ ○
ガッポリ建設:片方がひたすら笑う +
西麻布ヒルズ:運動会
U字工事(合格):スクーターにサイドカー ++ ○


予想外に良かったチーモンチョーチュウ、見事に準決勝へ。ネタはありがちな漫才コントかな、と思ったけど終盤一個一個のボケに突っ込むことなく、ひたすらボケを重ねていったのは良かった。3分をフルに使いきった感じ。


BODYは増谷キートン椿鬼奴のコンビ。揃いの衣装で出てきた時点で既にウケる。ネタは健康にいいことをやる→ヨガをやる、という流れ。まずはキートンが、そして鬼奴がチャレンジ、というもの。2人で同じようなボケを重ね、体全体を使った奇妙な動きもあり(笑)、、とにかくとても面白かった。インリンの下りで失速したのが残念だったけど、個人的にはこの日1,2を争うくらいに笑った。しかし結果は不合格。うーん、決して「ピン芸人同士の即席コンビ」で片付けられるものではなかったし、むしろお互いのピン芸は殆ど使わない(大体、奴姐さんはヅラ被ってなかったんだぞ:笑)完全な漫才だったと思うので、この結果には正直驚いた。これがもしも「話題作りのためのコンビ*1は3回戦で落とす」なんていう隠れたルールのせいだったら悔しいなあ。


ガッポリ建設は一回戦で見た時のような飛び道具な感じではなく、きちっとした漫才だった。とはいえ普通のボケ・ツッコミという形ではなく、片方の漫談(若干滑り気味)に片方がひたすら「うひひひ」と笑っているという変則的なもの。発想は良かったと思う。時折見せるツッコミなんだか嫌味なんだかよくわからない一言が笑いを取っていたなあ。2回戦の結果が出た時に「ガッポリ建設が受かったのは納得がいかない」と書いたんですけど、これなら納得。


西麻布ヒルズ、片方が黒人。でも日本語しか喋れないらしい。ちょっと黒人ネタに頼りすぎだったかな。


U字工事は去年よりも客席にホーム感があっていい雰囲気。安定してますね。納得の準決勝進出。

エレファントジョン:同級生と再会 + △
ラフコントロール:俺にツッコミやらせろ ++ ○
平成ノブシコブシ自民党漫才 + △
ハリセンボン:デートプラン ++ ○
竹山崎:ネタ考えてきた ++


この辺からホントに雰囲気が良くて、全体的にドッカンドッカンうけてたね。そのせいか僕の評価も割と高めになってる。


エレファントジョンの片方って元アメデオ?と思ったらその通りだった。さすがに上手かったですよ。でも決め手に欠けてたかな。ラフコンは「俺がツッコム」「いや、俺が!」とか言いながらお互いにドツキ合い。かなり笑ったし、普通に合格したと思ったんだけどなあ。あ、上で「合格でも良かったんじゃないか」に挙げてないけど追加します。最後ちょっと下ネタに行っちゃったのがマズかったのかなー。


期待してたノブコブ、出てきた時点でしゃもじ持ってなかったんで「あれー?」と思った。吉村、若干空回り気味。ここのところ、とてもいい感じに脱力っぷりを発揮していた徳井もちょっと大人しめだった。ネタは政治ネタ、自民党漫才だったんだけど、これって去年もこんな感じだったっけ?去年も政治ネタを見た気がするんだよなあ。しかし今更オオニタアツシってチョイスは無いよー。そこで空気が冷え切ったのがわかったし。でも最後まで心が折れずにやりきった吉村に拍手。ある意味、山ちゃんに認められたみたいだし(笑) (後述します)


ハリセンボン、春奈のデートプランを考えてあげるネタ。去年3回戦・準決勝と見た時は凄く素人っぽくて、ネタも「一箇所笑えるところがあるけど全体的には普通だった」という印象なんですけど、もう見違えるくらいに上手くなっていた。「10カラット」を見た時に「TVに出てるオーラ」みたいなものがほんのり出てきていて「やっぱりTV出てると変わるなあ」なんて思ったし、とにかく成長著しいという感じ。それだけに、この敗戦はちょっと信じられなかった。でも確実に補欠合格で救済されると思う。


竹山崎は両方がキレてるだけって聞いてたんだけど、今回は一応山ちゃんがネタを考えてきたという話。でも聞いてみたらショートコント1本だけ、しかも面白くない(笑)。結局竹山がキレて、そこからはぐだぐだに(笑)。いやー、面白かった。タイミング的にも丁度いい気分転換みたいな感じで(笑)。最後はタイムオーバーになったんだけど、あれワザとタイムオーバーにしてオチにしようと思ってたんだろうなあ。でも3分のチャイムから意外に長々と続いて(あれ15秒以上経過してた気がするんだけど。結構15秒って長いのかね)、竹山が戸惑ってたのがちょっと可笑しかった。あと、山ちゃんが「ノブシコブシの奴、俺とキャラ被ってるやんけ!」と袖で怒ってたらしいです(笑)。そうかー?

オリエンタルラジオ(合格):ことわざの続き + ○
連戦姉妹:女子アナになりたい ++ ○
ハイキングウォーキングバーガーショップ
ジパング上陸作戦(合格):正月にパリ ++ ○
東京ダイナマイト(合格):知りビアの泉 ++ ○


連戦姉妹は「米に描いた世界地図」さんで前情報を得ていたんだけど、それの予想を越える強烈なキャラだった。ホントにプロポーション良くて笑った。結構ウケてた気がする。ハイウォーはやっぱりコントを漫才仕立てにしたもの。コント師の人たちも漫才用のネタを作った方が、いいと思うんだけどなあ(ノブコブがいい例だと思う)。ニブンノゴばりに開き直るという手もあるけど(笑)。ジパングは去年も準決勝に出てたし、何気に上手いんですよね。パッと見、チャドの微妙な日本語でヘタウマっぽく見えたりするけど、実は相当に上手い。あ、加藤が丸坊主になっててビックリしました。東京ダイナマイトは知りビアの泉。3分ということでかなり間を縮めて慌しい感じではあったけど、貫禄すら感じさせるステージで危なげなく合格。準決勝でネタのチョイスを間違えなければ、たぶん普通に決勝に行く。


オリエンタルラジオ以前見たことがある「ことわざの続きを考える」。1年目(2年目?)ってことを考えたら、このクオリティは驚異。でも前に書いたとおり、俺にはこれは「リズムを抜いた武勇伝」にしか見えないんだよなあ。それと、このネタをオリエンタルラジオ以外の人たちがやったとして、果たして合格したか?という気持ちが若干ある。やっぱりちょっと下駄履かせてもらってる感じがする。準決勝もこのネタだったら間違いなく決勝進出は無いけど、準決勝は武勇伝で来るのかな?武勇伝で貫き通せばいいのに、と思うんだけど。あー、あとオチがちょっと女子受けを狙ってる感じが鼻についた、っつーか近くにいた女性が実際「カッコいい…」と呟いていて、モヤっとしました。モヤっと。

Bコース:バレーボール ++ ○
レム色(合格):回文 ++ ○
さくらんぼブービー:鼻毛、引っ越し、部屋の中 + △
ライセンス(合格):コラボ ++ ○
ハリガネロック:ディズニー → 刑事 + ○


Bコース、全然期待してなかっただけど(笑)凄く良かった。お決まりの掛け声をやらずにスタート、時間が限られてる中その選択は正しい。あと定番のキノコネタ(頭叩いて胞子)がネタに合わせてアレンジされていたのも良かった。全体に笑いの量も多かったし、予想外にみんな笑わされたんじゃないかなあ(笑)。(結構失礼なこと言ってますね、これ。)Bコースって今年ラスト?決勝は無理だろうけど、準決勝くらい行かせてあげたい。ここも補欠合格候補。あーでも厳しいかなあ。ハリガネと同点くらいな気がするんですけど。


レム色はいつも通り。ここはやっぱりオリジナリティを評価されてる気がする。さくらんぼブービーは去年と同じ、という印象。今日のレベルの高さで損した感あり。個人的には好きだけど、不合格もやや納得。ライセンスは安定していて確かに面白いんだけど、ハリセンボンを落としてこっちかあ…という気もする。


ハリガネロックは前半ユウキロックの一人ボケツッコミみたいな感じで「あれ、ボケそっちでやるのか?」と思ったけど、後半は前日に見た刑事ネタ。前半で上手く掴んで後半のスタイルチェンジに賭ける、といった感じか。その通りに前半で場が暖まって、後半も前日に見た時よりウケは取れてた。実際出来も良かった。でも今にして思えば、やっぱり前半と後半で統一感が取れていなかったのが敗因なのかもしれない。前半が「保険」みたいな感じに見えちゃったんだよね。自分で○つけてるけど、たぶん希望も含めて付けたんだと思う。結果聞いた時に「ああ、やっぱりか」って思ってしまったし。補欠合格も厳しいかなあ。ハリガネが合格してハリセンボン・ボディが落ちたらちょっと…という気分です。

サカイスト:医者、チャラいツッコミ +
クワバタオハラ:ミワアキヒロ → 家に遊びに行く
タイムマシーン3号(合格):妊婦 ++ ○
POISON GIRL BAND(合格):バトンゾーン ++ ○
トータルテンボス(合格):何かをする時の原則 ++ ○


最終ブロック。完全に場が暖まっているのでサカイストでも結構ウケてた(おい)。クワバタオハラは、このご時世でやっぱり変な空気になっちゃうんだよね。不運だと思う。つーか、髪型がどうこうよりもクワバタの体型が変わりすぎててビックリした。モリマンかと思ったよ、俺は。やっぱりストレス太りなのかねえ。心配です。


タイムマシーン3号も危なげなく合格。関のツッコミ、上手くなったなー。バリエーションも増えてるし。ただ、ネタを早くこなそうこなそうという意識からかストーリーの先に行っちゃってる場面があって、やや気になった。3分経過のチャイムが鳴る前に終わったし、かなりタイムオーバーを恐れていたんじゃないかな。去年の準決勝でやっちゃったんですよね。決勝はどうだろうなあ。面白いと思うけど、M-1の決勝に出てる絵が全くイメージ出来ないんだよなあ…


トリ前とトリに去年の決勝進出者。これ、ちょっと優遇しすぎじゃない?なんて思った。80組とか出るならともかく36組でしょ?客もこれくらいなら疲れないし、最後って凄くいい出順だと思う。万が一ヘタうっても、ドン滑りになることは無いと思うし。ちょっとそういう風に見えてしまったんですけど、まあ穿ちすぎですかそうですか。


で、ポイズン。バトンゾーンのネタ。ポイズンといえば「奇抜なボケを突っ込まずに受け流す」というイメージが強いと思うけど、今年になってから見た漫才ってどれもこれもその枠に収まってない。バトンゾーンなんかは物凄くミクロな視点でそのまま突き進むし、M-1ツアーでやっていたネタ(先日のお笑いLIVE10でやっていた体を使うネタ)は両方ボケといっちゃえばそうだし、とにかくよくわからない次元に突入してる(笑)。決勝に行かなくても別にいいんじゃないか、とか訳のわからないことを思ったりしました。やー、面白かった。(これだけ言っといて締めがそれ?)


トータルは単独でもやっていた原則ネタ。相変わらず大村が噛んでたけど(笑)それが気にならないレベルの出来。スピード感があって良かったなあ。単独の時よりもウケてた気がする。去年も3回戦はバカウケだったんですよね。単独の時は「大丈夫か?」って思ったけど、今日の出来だったら決勝行ける。


とにかくこの日はレベルが高かったですよ。スケジュールの都合もあるだろうけど、もうちょっと分散できなかったのかねえ。この後の2日間の合格者に、ハリセンボン、BODY、Bコース、ラフコントロールハリガネロック辺りと比較して上に来るのか?っていう疑問が残るような人たちが出ないことを望みます。

*1:この後に出てくる竹山崎、去年のとんこつなんこつ、ってどっちも竹山かよ!