漫才ライブ「4分×2本」関東版A@シアターD


カリカ主催の漫才ライブ。ネタは4分の時間制限つきで一組が2本披露と、明らかにM-1を意識したルール。これを月2回レギュラーでやっていくという。カリカも10年目ということで、いよいよ真剣にM-1に挑むらしい。いや、今までが真剣じゃなかったという訳ではないが、明らかに「狙いに行く」という姿勢を見せるのは今年が初めてではないかと。家城ブログによると、コンビでのネタ合わせにも余念が無く、後輩とM-1のDVDを夜な夜な見ているらしい。極端だなあ。


今回の「A」は毎月固定のレギュラーメンバーカリカパンクブーブーPOISON GIRL BANDチーモンチョーチュウラフ・コントロールエリートヤンキー。全6組ということで、ネタ時間だけ数えたら約50分。そんな訳でライブも19時から始まって20時半には終わるという非常にコンパクトな構成だった。MCは毎回クジ引きで決めるらしく、今回はポイズン吉田とエリートヤンキー橘。ネタ順もその場でクジ引きで決める。以下、演目。

チーモンチョーチュウ:魔球
ラフ・コントロール:孫とお爺さん
エリートヤンキー:運動会
POISON GIRL BAND:部屋探し
パンクブーブー:野球の審判
カリカ:傘をささない
チーモンチョーチュウ:鍋
ラフ・コントロール:30円
エリートヤンキー:警官
POISON GIRL BAND:こん棒を持ったオッサン
パンクブーブー:新婚
カリカ:駅から徒歩20分


初回ということもあってか、どの組も時間配分がうまくいかずタイムオーバーする組もチラホラ。まあ、4分経過の警告音が「うぐいすの鳴き声」なので、皆そんなに緊張感が無いのかもしれない。ホーホケキョ、て言われてもな。


良かったのはポイズンの1本目、チーモンチョーチュウの2本目、あとパンクブーブーは2本とも。ポイズンの1本目は去年のM-1準決勝でかけた例のネタ。これ、2月にダイノジロックフェスで見て「ああ、これ面白いわ。何でこのネタ決勝でやらなかったんだろう」と思ったんだけど、今日も同じことを思った。勿体無いなあ。ダイノジ大谷もこのネタを絶賛していたらしいけど、吉田自身はこのネタをそこまでいいと思ってないとか。


チーモンチョーチュウの2本目は白井の一人芝居がメインのネタ。チーモンチョーチュウは「菊地に動いてもらう」ネタが多いと思うんだけど、これは菊地がツッコミに徹していて、なかなか新鮮だった。


パンクブーブーは絶好調。哲生のボケが「今そこ蒸し返すんだ?」と言いたくなるしつこさを持っていて、最高。黒瀬のツッコミも「滑りツッコミ」でいいんだという開き直りが出てきた(笑)。オープニングとエンディングで果敢に前に出ては滑り散らす様も印象的。って、どんだけ滑ってんだよ。


エリートヤンキーは去年M-1の3回戦で見たときは何も印象が残らなかったけど、凄く良くなっていたと思う。単純に上手くなっている。1本目のネタはそれこそ3回戦で見たネタだと思うんだけど、段違いに良くなっていた。ラフコンは元々好きなので期待値が高く、そういう意味では今回はちょっと期待外れだった。でも「30円」は、目の付け所が面白くて印象に残った。


で。カリカなんだけど。正直言うと普通だった。や、笑えなかったのかというと、そんなことも無く、それなりに笑った。ただ、今までカリカのコントや漫才を見たときのように圧倒的なカタルシスを得られることは出来なかった。それは何故かというと、この日見せた漫才が余りにもカリカらしくなかったからだと思う。今まで見てきたカリカの漫才は、既存の漫才のフォーマットからは明らかに逸脱していて、人によっては「あれは漫才じゃない」と言うこともある、そんな漫才だった。でも、それが圧倒的に面白かったんですよね。それがM-1で決して勝てない漫才だったとしても。


今回やった2本のネタは、カリカ特有の演技じみたところも無く、早口に言葉を詰め込んで(ここが一番違和感があった)、見た目にわかりやすい動きを取り入れていた。いわば「M-1の決勝で見たことのある漫才」で、たぶん家城がM-1のDVDを夜な夜な見た結果、こうなったんだろうけど。


このまま、この路線で行く気なんだろうか。勿論「このまま」な訳はないし、これから約8ヶ月、月2回やっていく内のたかだか最初の1回で判断なんてしてもしょうがないんだけど。それでも何だか一抹の寂しさを感じたのは事実なので書いておく。


たぶん2ヶ月後くらいには「3月のAの後に言ったことは全力で撤回したい」とか言ってそうな気もする。つーか、そうであってほしい。とりあえず21日の「B」が期待と不安、半分半分で非常に待ち遠しい。